”私たちと宇宙"

 

 

私たちの体を作っている物質はどこでできたのだろうか?

この問いに答えるために、まず、物質の話をします。つづいて、宇宙の始まりのビッグバンで起こったこと、星の中で起こったこと、超新星爆発でおこったことについて話し、私たちの体を作っている物質の生い立ちについて説明します。

1.         原子・分子と原子核

l        すべての物質の基本要素:原子あるいは分子

Ø  風船に入っているヘリウムガスの基本要素はヘリウム原子(He)

Ø  水の基本要素は水分子(H2O): 2個の水素原子(H)と1個の酸素原子(O)

l        原子: 約1億分の1センチメートル、原子核と電子

l        電子: 素粒子、マイナスの電気

l        原子核: 原子の重さの大部分、約1兆分の1センチメートル、陽子と中性子

l        原子核中の陽子の数と中性子の数の和を質量数:

Ø  ヘリウムの原子核は2個の陽子と2個の中性子 ⇒ 質量数は4(ヘリウム4)

Ø  水素の原子核は1個の陽子 ⇒ 質量数は1(水素1)

Ø  酸素の原子核は8個の陽子と8個の中性子 ⇒ 質量数は16(酸素16)

2.         自然界の4つの力

l        重力、電磁力(クーロン力)、核力(強い力)、弱い力

l        ベータ崩壊: 中性子 → 陽子+ベータ線(電子)+ニュートリノ(寿命1000秒)

l        核力と電磁力の強さの比較:

Ø  水素原子は陽子と電子が電磁力で結合: 約10電子ボルト(eV)

Ø  重陽子の場合は陽子と中性子が核力で結合: 約2百万電子ボルト ⇒ 20万倍!

 

3.         ビッグバン宇宙と素粒子の誕生

l        私たちの宇宙は約150億年前のビッグバン(大爆発)で開闢(かいびゃく)

l        ビッグバン直後の宇宙は大変な高温・高圧: 物質とエネルギーの区別なし!!

Ø  アインシュタイン博士の公式: E=mc2

l        宇宙は光速に近い速さで膨張し続け、温度と圧力が下がっている

l        陽子と中性子が現れたのは、ビッグバンから約100万分の一秒後

l        電子が現れたのはビッグバンから約1秒後

l        宇宙はまだまだ高温のため、これらの素粒子同士が結合できない

 

4.         ビッグバン直後での元素合成

l        素粒子同士の最初の合成は、結合力の強い核力によってビッグバンの約10秒後

Ø  陽子 + 中性子 → 重陽子(水素2)(中性子捕獲反応)

Ø  重陽子 + 中性子 → 3重陽子(水素3)

Ø  重陽子 + 3重陽子 → ヘリウム4 + 中性子(核融合反応)

Ø  ヘリウム4 + 3重陽子 → リチウム7

Ø  リチウム7 + 中性子 → リチウム8 → ベリリウム8 → 2個のヘリウム4

l        元素合成は約1000秒間で終了(寿命で中性子が無くなったため)

 

5.         原子と星の誕生

l        電気的に中性な原子の誕生: ビッグバンの約10万年後

Ø  水素原子(H)が約80%、ヘリウム原子(He)が約20%、ごくわずかのリチウム(Li)

l        重力の活躍:

Ø  原子が濃く集まった大きなガスの塊が宇宙のいたるところで形成

Ø  この塊は重力によってさらに収縮してゆき、中心部分の温度が高くなり、中心部分で4個の水素(陽子)が融合する核反応が起こり、星として輝き始める。これが宇宙の第1世代の星で、ビッグバンから約1億年後のこと。

 

6.         星の中での元素合成

l        水素燃焼: 4個の陽子 → ヘリウム4 + 2個の電子 + 2個のニュートリノ

Ø  水素が燃えてヘリウムが作られている状態の星を主系列星: 私たちの太陽も主系列星

Ø  大きな星ほど速く燃え、私たちの太陽の大きさだと、この水素燃焼期間は約100億年

l        ヘリウム燃焼: 3個のヘリウム4 → 炭素12、炭素12 + ヘリウム4 → 酸素16

Ø  重い星では、鉄までの元素が合成される。

l        鉄より重い元素は、鉄を種とした中性子捕獲反応とベータ崩壊によって進む

Ø  鉄56 + 中性子 → 鉄57、
鉄57 + 中性子 → 鉄58 
鉄58 + 中性子 → 鉄59 → コバルト59

Ø  中性子捕獲反応とベータ崩壊を繰り返して、ビスマス209までの元素が合成される。

 

7.         超新星爆発での元素合成

l        星の末期: 原子核反応による発熱が不十分 → 星の温度が下がる → 重力収縮

l        重い星ほど強烈な収縮: 太陽よりも数倍重い星は超新星爆発 → ブラックホール

Ø  私たちの太陽の終焉は白色矮星

Ø  超新星爆発(1987A)から発生したニュートリノの観測: 小柴昌俊博士

l        爆発的な元素合成: 主に中性子捕獲反応によって質量数350までの原子核合成

l        超新星爆発によって合成された元素は、星の中で合成された元素とともに広大な宇宙に飛び散ってしまい、第二世代以降の星の原料となる

  

8.         第2世代以降の星の原料

l        第2世代の星: ビッグバン直後に合成され宇宙に大量にある水素やヘリウムなどの軽い元素と超新星爆発で宇宙に飛び散った種々の元素が重力で一緒に集まって誕生

l        地球は約46億年前に太陽とほぼ同時期に誕生した惑星 ⇒ 元素合成は起こらない

l        地球上には水素からウランまでの元素が天然にある

Ø 私たちを含めた地球上の全ての物質は、ビッグバン直後に合成された元素と星屑からなっている。星屑の代わりにスター・ダストと英語で言えば少しロマンチックな感じ?

l        ウランより重い元素が地球上に無い理由: これらの元素の寿命が地球の年齢46億年に比べて短く、無くなってしまったため

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 時    2月29日(日)14時30〜16時
 所    緑地駅ビル8階会議室
 講演者 井頭政之博士  (東京工業大学助教授)
 話  題 「私たちと宇宙」
 主催 ASK進学教室



 

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